接着剤でくっつけることができる理由は不明!?

DIY、模型、工作などいろいろなものを作るとき、壊れたものを直すときなどいろいろな場面で何気なく使っている接着剤ですが、実はなぜくっつけることができるのかわかっていないんです。
今回は一般的に言われている仕組みをご紹介します。

『接着』の定義

そもそも接着とは「接着剤を媒介とし、化学的もしくは物理的な力またはその両者によってふたつの面が結合した状態」と定義されています。
簡単に言うと「くっつけるもの同士が接着剤を使ってくっついた状態」となります。
なので、くっつけても接着剤を使わない方法は『接着』とは呼ばないことになります(熱で溶かしてくっつける「溶接」など)
『接着』の定義がわかったところで、なぜ「接着剤でくっつけることができる理由」がわからないのか説明します。

接着剤でくっつく仕組み

接着の定義で言われている「化学的な力、物理的な力」とは主なものを3つご紹介いたします。

1.細かいすき間に入り込んで固まることでくっつく
「機械的接着」、「機械的結合」と呼ばれる考え方です。「投錨(アンカー)効果」や「ファスナー効果」とも呼ばれます。
接着剤がくっつけたいものの表面にある細かいデコボコに入り込んで固まることで、釘のように固定されてくっつくという考え方です。木や紙のように浸み込みやすいもの(多孔質材)には特に効果を発揮します。
しかし、ガラスや金属のような表面がツルツルしたものにはあまり効果がないように思えますが、接着剤でくっつけることができます。そのため、これだけが接着剤がくっつく理由とは言い切れません。

2.化学反応を起こして分子同士がくっつく
「化学的接着」、「化学的相互作用」と呼ばれる考え方です。
くっつけたいものの表面と接着剤が化学反応を起こし、分子同士がくっついて橋渡しとなることでくっつけることができるという考え方です。
しかしながら、ほとんどの接着剤は他の物質とは化学反応を起こしにくくなっています。また、くっつけるものもいろいろな材質があり、化学反応しやすいもの、しにくいものがあることもあり接着剤でくっつけることができる理由とするには不十分と言えます。

3.分子同士が引き合ってくっつく
「物理的接着」、「物理的相互作用」と呼ばれる考え方です。
分子と分子は近づくとお互いに引き合う力が働きます(「分子間引力」、または「ファンデルワールス力」と呼びます)。
くっつけようとするものと接着剤の分子が引き合う力によりくっつき、接着剤が固まることでくっついた状態を保つという考え方です。
例えば、ガラス板の表面に水をつけて、ガラス板同士を重ねると接着剤を使っていないのに一時的にくっつきます。もちろんガラス板同士だけだとくっつきません。これは、ガラスの表面の目に見えないデコボコなどによりガラス同士の分子が引き合うまで近づけないためです。そこに水を入れることでガラス板と水が限りなく近くなり分子間で引き合う力が働くためガラス板同士をくっつけることができるのです。さらにこの分子ひとつひとつの引き合う力はとても弱いものなのですが、水は液体なので細かなすき間などにも入ることができます。なのでより多くの分子が引き合う力を発揮できるようになります。実はこれが接着剤が液体(サラサラ、トロトロは問わず)である理由でもあるのです。
現在はこの「物理的接着」が一番接着に影響しているのではないか、と言われています。

少し難しい言葉もいくつか出てきましたのでわかりにくいところがあったかもしれません。
このように接着剤でくっつけることができる理由は複数あり、理由はこれだ!と言えるものは現在わかっていません。複数の要因が重なってくっつけることができるというのが今の考え方です。

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